こんにちは、トーマです
この記事では
プロダクトマネジャーの面接で最もよく行われるProduct Sense Interviewについてその概要と攻略法を話します。
- プロダクトマネジャー特有の面接がどんなものか知りたい
- プロダクトマネジャーの面接を控えているのですが、具体的な対策法を知りたいです
- プロダクトマネジャーの面接ってどんな流れで行われるのか知りたい
といった疑問に単刀直入に答えます。
本記事のテーマ
アメリカでのプロダクトマネジャーの面接攻略。実際の面接のやり取りを文字で起こしたものも公開します
本記事の信頼性
記事を書いている僕は現在アメリカでプロダクトマネジャーとしてバリバリ働いていて、過去にプロダクトマネジャーの面接の一部としてProduct Sense Interviewを5回受けましたが最初の1回以外の4回は通りました。
また、働く側としてプロダクトマネジャーの面接に会社側として参加したこともあるので、受ける側と実施する側のどちらの側面も経験したことがあります。
さらに、説明だけされてもPMのインタビューを想像しにくいといった方は多いと思うので、記事のおまけとして僕が最も最近受けたProduct Senseのインタビューの際の実際の会話を全て文字として書き起こしました。ここまで透明性高く実際の面接での会話を覗けるのはここだけなんじゃないかなと思います。
読者さんへの前置き
本記事はプロダクトマネジャーの面接の中でもとりわけ大切にされるProduct Sense Interviewのみに焦点を絞っているので、PM面接の全体像が知りたい人は以前書いた記事をご覧ください。
また、タイトルは「アメリカでのプロダクトマネジャーの面接攻略」としていますが、この記事で話している内容は言語関係なくプロダクトマネジャーを目指す人にとってはかなり役に立つ情報となっております。
それでは、さっそく見ていきましょう!
Product Sense Interview概要
まず、時間としては1つの質問は15~20分ほどの時間で行われ、Product Sense Interviewではその名の通りプロダクトを設計するセンスが問われます。
ではプロダクト設計のセンスって一体何で決まるの?と思う人も多いと思いますが、主に
- プロダクトをデザインする際にどのようなアプローチを取るのか?
- プロダクトをデザインする際にどのようなことを重視、注意しているか?
- プロダクトをデザイン、開発する際にどのようにプライオリティづけを行うのか?
- プロダクトをデザインした後に、どのようにしてそのプロダクトの成功を定義づけ確認するのか?
と言ったことを基準にプロダクト設計のセンスは評価されます。また、もう少し具体的に実際に面接でどんな質問をされるかというと
よく聞かれる質問
- 目の見えない人へ向けた冷蔵庫をデザインしてください。
- Google Search Engineをより良くしたいのだが、あなたならGoogle Search Engineをどのようにリデザインしますか?
- Employee Engagementを向上させたいのだが、あなたならどのようなプロダクトを実装しEmployee Engagementの向上を図りますか?
実際にされたことのある質問
- Meta(旧:Facebook)が最近Threadsというアプリをリリースしたが、もしあなたがThreadsのPMだったと仮定して、Threads内でPersonal Financeに関するプロダクトや機能を実装するならどんな機能を実装しますか?
- iOSにはiMessageという広く使われているネイティブチャットアプリがあるが、Androidにはそのようなチャットアプリがない。Google社はこれまで幾度かAndroidのネイティブチャットアプリの開発を試みてきたが失敗してきました。もし、あなたがAndroidのネイティブチャットアプリをデザインするとしたら、どうデザインしますか?
と言った感じです。
コンサルや投資銀行で聞かれるような理詰めのケース面接とは違って、抽象的な課題を面接担当のインタビュアーと一緒に具体的なプロダクトへ落とし込んでいくのがプロダクトセンス面接です。
もちろん与えられた課題を解決できるプロダクトをデザインして提案することは大切なのですが、何より大切なのは実際のミーティングでPRD (Product Requirements Document)を仕上げていくようにステークホルダーやユーザーに関する質問をしながらそのユーザーの問題解決に向けたプロダクトの設計図になるPRDを仕上げていく自分なりのプロセスを示しながら面接担当のインタビュアーをチームメイトとしてうまくエンゲージすることです。
そして、抽象的な課題から質問を繰り返して問題を定義しそれに対する解決策を模索しプライオリティをつけていくというのは実際にプロダクトマネジャーが日常で行っているコアな仕事です。
まとめると、プロダクトセンスインタビューは抽象的な課題からしっかりユーザーの抱える問題を定義して、他のステークホルダーと話し合いをしながら課題解決の解決策としてのプロダクトの要件を定義する力をテストするといった感じです。
では、具体的にどうやってたった15~20分の間に今言った全て行えばいいの?という疑問に答えるために次の章ではプロダクトセンス面接の攻略と題して、20分で上で話した全てを簡潔に見せるための具体的なステップを紹介します。
これから紹介するステップを押さえて、しっかり練習していかないと15分程度でしっかりと話をまとめてPRDを完成させるのはかなり難しいです
PRDがわからない人はProduct Managerについて書いた記事を参照ください。
Product Sense Interview攻略
短い面接時間を効率的に使い、結果を出すためにはまずゴールを持つことが必須です。
プロダクトセンス面接でのゴールは一言で言えば与えられた「課題を解決するプロダクトのPRDのドラフトを作る」ことです。
そして、PRDを作る手順はこちらです。
- ユーザーリサーチ
- ゴールの設定と確認
- 問題に対する解決策をブレインストームしプライオリティをつける
- 解決策(プロダクト)の提案
- Success Metricsを定める
20分間の間に面接官に質問をしながらこれらのタスクを終わらせていって最後に話した内容をまとめて終わりといった感じです。
厳密には時間がなければ5は終わらせなくても大丈夫ですが、全て終わらせることができればベストです。
ではそれぞれのステップについて見ていきましょう。
0. 手順の確認
ステップ1に入る前にまずアジェンダを考えてシェアします。
このステップは面接対策として語られることは少ないですが、かなり重要です。
大事なのでもう一度繰り返しますが、面接とはいえプロダクトセンス面接は模擬的にプロダクトマネジャーとしての仕事の一部をインタビュアーと一緒に行う中でPMとしての素質や適正を見るものなので普通にミーティングを行なっているようにengagingな会話をすることが大切です。
ミーティングをする上では時間を無駄にせず明確なゴールとそこに行き着くためのアジェンダをシェアしますよね。
面接でも早速プロダクト設計について話し出す前にどうやってプロダクト設計をして何を成し遂げたいのかを説明して相手の確認を取るようにします。
僕なら
- ユーザーリサーチ
- ゴールの決定と確認
- 問題に対する解決策をブレインストームする
- 解決策にプライオリティをつけていく
といったステップを踏んでユーザーの課題を見つけた上でその課題を解決するプロダクトを設計します。また、時間があれば
5. Success metricsを定める
までたどり着いてプロダクトの成功の定義づけまでできるといいと思います。どうですか?
といった感じでステップを具体的に話て相手がどう思うかの確認を取ります。
1. ユーザーリサーチ
プロダクト設計、いやプロダクトマネジャーとして最も大切なステップです。最初の3分くらいでとにかくユーザーについての情報を集めれるだけ集めます。
この時に特に注意して聞くべきは
- Demographics
- 何歳?
- 地域は?
- ユーザーは何を成し遂げたいのか?job to be doneなどといったりもする
- User Pain Points
- What’s the biggest pain point of the user?
- What’s the current behavior of users?
- Where do they struggle?
の二つです。
この2つの情報を得ればそれでターゲットのユーザーペルソナは完成です。
通常ユーザーに関する背景情報は多ければ多いほど良いのですが、面接では1つの質問につき与えられる時間が20分程度と限られているので最低限の情報を得てユーザーのペルソナを描ければそれで十分です。面接においては”回答の質<思考のプロセス”です
2. ゴールの設定と確認
このステップは簡単です。1で特定したユーザーが抱える問題を解決することがゴールです。
ただ、勝手にそれだけ触れて進めるのではなく必ずインタビュアーに1で特定したこういった課題を解決することがプロダクトゴールとして的確だと思うがどう思いますか?と尋ねるようにしてください。
何度も言いますが、面接ではなく会話をしてください。面接官をEngageすることを忘れずに。
ちなみにこれは必須ではないですが、constraintsについても聞いておくと良いです。ここでいうconstraintsとはプロダクトを開発する上での制約に当たり、主に時間・金・人に関して何か制約がないかをさらっと確認するといいです。
基本的にプロダクトセンスではno constraintで自由な発想を求められることが多いですが、実際の仕事ではconstraintsがないプロダクトなどほとんど存在しません。2ヶ月で顧客に届けないといけないなら機能をカットしないといけないですし、金銭的な制約が強いなら極力お金をかけないプロダクトをデザインする必要だって出てきます。
Constraintsに関する質問は数十秒のうちにこういった実践的な経験からくる思慮の深さを見せるので尋ねておくことをお勧めします。
3. 問題に対する解決策をブレインストームしプライオリティをつける
このステップでは解決策を複数考えた上でその中でプライオリティをつけていきます。また、忘れないで欲しいのはここでいう解決策とはプロダクトです。
解決策をブレインストームする
まずとにかくいくつか案を出します。Constraintsに沿った上で(もしあれば)自由にアイデアを出していっていいのですが、一つだけ注意して欲しいのはあくまで2で定めたゴールに沿ったもの出ないといけないといった点です。
また、案外見落としがちですが重要なのは解決策が面接している会社のミッションや理念に沿ったものかということです。これを考慮することでいかに自分がその会社を理解しているかまた会社の利益となるプロダクトを設計するポテンシャルを秘めているかを的確にアピールできるのでおすすめです。
解決策にプライオリティをつける
次に捻り出した複数の案にプライオリティをつけていきます。
言い換えると、どの案をインタビュアーに提案するか決めます。この際に何を基準に決めたのかを明確に説明することを忘れないでください。
- ステップ1で特定したユーザーが抱える1番の問題を解決するのに適しているのか?
- ステップ2で定義したプロダクトゴールを達成するのに最適か?
- Constraintsがある場合それに沿った提案なのか?
といったことを意識するようにすると説明に一貫性と論理性を持たせることができます。
4. 解決策(プロダクト)の提案
いくつかアイデアを出し自分なりの基準をもとに解決策にプライオリティをつけたら、インタビュアーに解決策を提案します。提案の際にはいくつか出した案から最も良いと思ったものを1つ選んで提案してください。そして、必ずプライオリティをつけた際に選ばなかったアイデアにも触れてください。
PMとして数あるアイデアやプロダクトにプライオリティをつけてそれを他のチームのメンバーやステークホルダーに論理的に説明する能力は必須です。
次際に解決策を提案する際に話すべきポイントは
- なぜそのsolutionを選んだのか?
- そのsolutionを選ぶ際にはどのような基準で選んだのか?
- 他のsolutionsを選ばなかった理由は?
といったところです。3ですでに考えたことなのであとは会話の中で理由を論理的に説明すればOKです。
5. Success Metricsを定める
最後に時間があれば提案したプロダクトや機能をローンチした際にゴールを達成したかを測るためのsuccess metricsを定義しましょう。
Success metricsは具体的な数字で数値化してトラックできる必要があることは心に留めておいてください。
Solutionsを考えた時にやったように、プロダクトゴールに沿ったものを自分でいくつか考えた上で1つか2つくらいのmetricsを論理的な説明込みで選ぶ必要があります。
よくあるmetricsとして
- DAU (daily active users) / MAU (monthly active users)
- CVR (conversion rate)
- Number of downloads
- Error rate
- Efficiency gain in %
以下のようなものが挙げられますが、これらはかなり一般的なものなので設計したプロダクトによってこれらを元にカスタマイズしたmetricsをsuccess metricsとして提案するようにしましょう。
まとめ
さて、ここまでがプロダクトマネジャー攻略法の基本です。20分でこれを全て行うなんて無理と思っている方もいるのではないかと思います。
実際それなりに練習して慣れていないとこれまでに述べたすべてのステップをカバーするのはかなり難しいので準備をしっかりしておきましょう。この記事で概要と使えるフレームワークは学べたと思いますが、さらなる準備のために最後の章でPM面接で役に立つリソースを4つ紹介しています。
また、もし個別で相談がしたい、面接練習がしたいなどありましたら、僕のニュースレターを購読して毎週土曜日の朝に届く僕からのレターに返信して下されば少なくとも1回は無料で相談、模擬面接行います。
The Toma Letter
Explore More. Become More.
ベストセラー本からの学びや自らの経験をもとにキャリア、資産形成、自己啓発についてここでしか語らないとっておきの情報と思考をシェアします
読者さんからの質問や相談には答えるのでSubscribeして届いたメールに返信して下さい☺️
プロダクトマネジャー面接攻略に役立つリソース
最後に僕がお勧めするプロダクトマネジャー面接攻略に役立つリソースを4つ紹介してこの記事を締めくくります。
僕が実際に受けた面接の会話の書き起こし
これまでの説明だとまだ抽象的で具体的なイメージがわかないと言った人もいると思うのでそんな方のために最も直近に僕が実際に受けたプロダクトマネジャーの面接のなかでの会話を全て書き起こしたものをnoteにまとめたので読んでみてください。
ちなみにこの面接SoFiのシニアプロダクトマネジャーの面接で僕がこれまで実際に受けた面接で最もうまくいったものでありフィードバックも最高だったものです。もちろん結果は合格でした。
ここまで透明性高く面接の会話を公開しているのは珍しいと思うのでぜひ目を通して具体的にプロダクトマネジャーの面接がどんなものか想像してみてください。
本当は面接の書き起こしもこの記事に埋め込みたかったのですが、流石に長すぎたので別にnoteに出しました。
YouTube
文字で理解したとしても実際の面接をイメージするのは難しいです。そこで、YouTubeでひたすら模擬面接を見ることをお勧めします。
「PM Mock Interview」などと検索すればたくさん出てきますが、その中でもお勧めなのはExponentsが出している動画です。全部が全部いいかと言われると微妙ですが、たくさんの模擬面接を見ることで様々な進め方やアプローチの仕方を研究することができます。
その中でも特に僕がお勧めする動画はこちらです
彼はおそらく英語ネイティブではないのですが、落ち着いた口調で論理的にユーザーにフォーカスしたsolutionを提示するまでの流れがほとんど完璧と言っていいと思います。
PM DAO
PM DAOは「誰もがプロダクトを通して価値を生み出せるように」をミッションとしてプロダクトを中心とした自律分散型の組織 (DAO) を目指してプロダクトや実践的な学びの場を提供している組織で、実際に僕もDepodというプロジェクトにPMとして参加して活動しています。
PM DAOについてもっと知りたい方はこちらをチェックしてみてください!
プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアなどの経験を持つメンバーが実際のプロダクト開発に自由に参加し、学び、交流し、経験することで成長するという実践的な環境を提供しています。
トーマ(筆者)
最後のおすすめリソースは僕です!
自分で言うのもなんですが、僕はTwitterやブログで日々自分の経験から少しでも役に立つ情報を発信しています。全てがプロダクトマネジメントにフォーカスしているわけではないですが、TwitterのDMで質問など投げてくれれば返信するかもです。
また、先ほども言ったようにニュースレターを購読してもらってそこで返信する形で質問や相談もらえれば必ず返信しますので、ぜひ登録して新しい発見をしていってください!
それでは、みなさんがより多くのPM仲間が増えるとこを願って終わりとします。読んでいただきありがとうございました。
もし、記事が良かったと思ったらTwitter等で拡散お願いします☺️