「ライオンのように働け」—— 成果を爆発させる“サボり魔”の仕事術

THE TOMA LETTER

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「海外大で授業についていくために毎日図書館で12時過ぎまで勉強してます」

「朝8時から夜の11時まで仕事してます」

私はこれだけ勉強してる。

俺はこんなに働いてる。

何事においてもかけた労力やストレスを時間という分かりやすい形で表す人は多い。

多くの人が「かけた時間」を労力として頑張った証のように話す。

学校では宿題や予習復習を真面目にやった人がなんとなく褒められる。

会社では上司に言われたことを指定されたフォーマットに従って、上司のやり方に沿ってやるとうまくいく。

テストの点数や仕事の成果以上にその過程に至るプロセスや努力がなんとなく評価される。そんな社会。

でも、現実を見ると実際に成果を出していく人は時間をかけた人でも、頑張ったことを認めてもらう人でもない。むしろ逆。

そして、この事実はシステムとして結果に差が出ないようにできている日本の義務教育をでた時に顕著に、結果として現実に現れ始める。

誰にも思い当たる節はあると思う。

大学で、毎日図書館にこもって講義を真面目に受けていい成績を取ることに精一杯だった人は、卒業を前に就活に苦労している。

一方で講義には出ず、大して勉強もせずにバイトに明け暮れてたり、趣味に没頭している人は卒業前にはしっかりいいところの内定を持っている。しかも、実は学業成績も頑張って勉強した人と同じか、なんならそれより良かったりする。

会社でいつもみんなより早く出社して、帰るのもいつも最後。めちゃくちゃ時間をかけて丁寧に資料を作って、プレゼンの準備をしてる人に限ってレイオフがあった時に真っ先にあっさりクビになる。

一方で出社はいつもギリギリで仕事中にだべってばっかりだし、いつも人より早く退社する。けど、成績はトップで上司からも気に入られてる。昇進機会があれば、大体この人が真っ先に選ばれる。

かけた労力ばかりに気を取られてる”頑張り屋さん”たちは、こうやって一見”サボってるけど、うまくいく”人たちのことを「特別頭がいい人」と思ってるかもしれないが、そういうわけでもない。

僕自身、特別めちゃくちゃ頭がいいわけではないが、”サボってるけどなんでも効率よくこなすタイプ”ではある。

どこからどうみても”不真面目なサボり魔”だけど、なんだかんだで結果は残しているタイプ。

大学にいたときは1年生の最初の学期以降は出ないと落単の授業以外はほとんど出ていないし、中間・期末テストも最大でも1科目で1日しか使わなかった。全て満点だったかというとそうでもないが、どれも8-9割は取れたし、GPAも3.7くらいはあった。

仕事でも基本的に好きな時間に好きなだけ働いていたが、毎年評価は会社でも上位だったし、昇給の幅も他より大きかったし、大型のレイオフも外国人では唯一生き残った。(最終的にはその1年後に次の大型レイオフで消されたけど笑)

特に大学の時は多い時は週6で飲み歩きながらインターンと個人のプロジェクトを進めたりと色々やっていたのもあり、よく友達に「どうやってそんなたくさんのことをこなしてるのか」と聞かれた。

その度に普段やってることを話すと、「それは俺にはできない。お前はすごい」と言われた。

違う。誰にでもできるし、俺がすごいわけじゃない。

とは思いつつも、芯では分かっていた。

こういう人は変わらない。そもそも変わる気もない。だから、量をこなしてる。

でも、このニュースレターを読んでくれている人たちは違う。

常に新しい視点を、生き方を、変化を求めている。

ということで今回のレターでは「これだけやりました」至上主義をぶっ壊して、誰でも効率よく成果を出せる”サボり魔”になるためのフレームワークについて話していく。

Work Like A Lion

そもそも「頑張り屋さん」と「サボり魔」では考え方も働き方が根底から違う。

「頑張り屋さん」は与えられたことをなんとなくこなす。

いちいち行動に対する意味や行動から生まれる結果に対して深く思考しない。

ただなんとなく社会で大多数がそうしてるから、先輩がこうしてたから。

流されながら、タスクをこなしていく。

「成果を出すサボり魔」は自分の行動は自分で決める。

ライオンのようにやる時は一気に集中し、成果という獲物に向かって一直線で狩りをする。

そして、狩りをしていない時はダラダラしたり遊んだりと遊休を楽しむ。

アメリカの著名実業家のNaval Ravikantがこの対比をライオンと牛を使って表しているのがすごく腑に落ちる。

「君も僕も牛じゃない。僕たちは一日中ダラダラと草を食べるために生まれたわけじゃない、わかるよね?

僕たちはライオンのように“狩り”をするために生まれている。僕たち人間は雑食動物だけど、その発達を考えると草食動物よりも肉食動物に近いんだ。

知的アスリートとして本当に機能したいなら、本物のアスリートのように働くべきだ。

つまり、一生懸命にトレーニングして、全力で走り(スプリント)休み、振り返りをしてフィードバックを受け、またトレーニングし、また全力で走り、また休む。そしてまた振り返る…こうやって成長していく。

毎日決まった時間、同じだけ机に座れば、一直線に成果が出るなんて思うのは幻想だ。それは機械の考え方だよ

“You and I are not like cows. We’re not meant to graze all day, right? We’re meant to hunt like lions. We’re closer to carnivores in our omnivorous development than we are to herbivores. As an intellectual athlete, you want to function like an athlete, which means you train hard, then you sprint, then you rest, then you reassess, you get your feedback loop, then you train some more, then you sprint again, then you rest. Then you reassess this idea that you’re going to have linear output just by cranking every day at the same amount of time sitting. That’s machines.”

Navalのこの引用はAI時代の働き方について話している中から持ってきたものだが、ここでの「牛とライオン」はここまで話してきた「脳死の頑張り屋さんと成果を出すサボり魔」の比較が当てはまる。

要するに効率よく結果を残すためにはこの「知的アスリートとしてライオンのような働き方」を身につけ、個人レベルでの「働き方改革」をする必要がある。

では、ライオンのように働くためにはどのような思考と行動の変化が必要なのか。

これについてみていく。

取捨選択から生まれるClarityー何を捨てるかで全てが変わる

普段、与えられた作業を「なんとなく」こなしてしまっていないだろうか?

まるで、そこに草があるから、みんなが食べているから――と深く考えずに草を食む牛のように。

でも、ライオンは違う。自分の狙う獲物を自分の意思で決めて、必要なときに全力で狩りをする。

知的アスリートとして成果を出すには、そもそも「どんな成果を追うか」を決める必要がある。

『Googleへの転職』でも『スタンフォードへの入学』のような明確な目標でもいいし、

『こういう人になりたい』と言った理想の自分を掲げるでもいい。

とにかく自分の中でのミッションを決める。

ミッションはそれが実現しないと嫌で仕方ないくらい強いものにする。

このミッションは1つに絞ってしまった方が、集中しやすいが、ジャンルによって3つほど決めておくと言った方法でもいいと思う。

例えば、5年後の理想の自分を描いた上で「キャリア・健康・人間関係」の3つの柱でそれぞれのミッションを描くなど。

大体、キャリア・健康・人間関係の3本柱で人の人生は成り立ってるので、それぞれにミッションを持っておいて短期的に集中したいものを1つか多くても2つ決めると集中しやすい。

ミッションが明確に定まるとそれによって何が必要なのかが見えてくる。

つまり、行動に対するClarityを得ることができる。

そして、「今自分がやっていること」と「ミッション達成に必要なこと」を冷静に照らし合わせてみてほしい。

今自分が普段なんとなく、こなしていることや主に時間を使っていることは本当に自分のミッションにあっていることなのか。これを考える。

ミッションにつながらない行動は、潔く捨てるか、リソース配分を最低限にする。

冒頭で大学の時の話を少ししたが、これは行動の取捨選択とリソースの割き方をミッションに合わせた例の一つ。

僕自身の例でいうと、大学時代前半は本当に必要な英語力をつけるために授業への出席は最低限、残りは全部アメリカ人の友人と遊ぶことやプロジェクトに全ツッパした。

後半は本格的にアメリカ現地就職を目指し、インターン、ネットワーキングに集中した。

結果として、大学を通して授業にはほとんど出なかったが、現地での就職という大きな目標を達成したし、英語も他の留学生よりも高いレベルで扱えるようになった。

じゃあ、成績が悪かったのかと言うとそうでもない。ただ、100点を目指さず、80点を最低限の時間で取っただけ。

1日の時間もエネルギーも有限。

この有限のリソースは「絶対に成果につながる」と確信できることだけに使うべき。

そして、この時に最も大切なのが『いらないことを捨てる勇気』。

他の人がやってるから。先輩がやってるから。教授がやれっているから。親の期待があるから。

関係ない。自分のミッションに向き合って、必要でないことは切る。

こうすることで、必然的に必要な行動だけが残る。

そして、実はこの取捨選択は副次的にモチベーションの問題も解決する。

そもそもモチベーションややる気が出てこないと言う人は、やってることに先が見えない。行動の先に達成するミッションがないことが多い。

しっかりとミッションを定めてそれに向けての行動を特定できれば、行動を起こすのにやる気はいらない。

やり始めるのにやる気が必要なタスクは捨ててしまった方がいい。

〆切で生まれる本当の集中 – 締切がパフォーマンスを最大化する

やらないと先生に怒られる宿題と違って、大人になってから自分に課すタスクはやらなくても死なないし、怒られない。

自分で作り出したタスクは自分で終わらせるしかない。

デッドラインのないタスクは終わらない。

取り組むタスクが決まったら、まず初めに期限を設ける。

この期限を設けることによって、やらなきゃいけないと言うある種の強制力が働く。

そして、もう一つタスクを終わらせるだけでなく、効率よく結果を出すのに有効な方法が「戦略的先延ばし」。

「明日やろうはバカやろう」なんて言葉があるように、先延ばしはよしとされないが、実際そんなことはない。

今やろうが先延ばしにしようが、期限までに終わってアウトプットの質に差が出ないなら変わらない。

むしろ、先延ばしにして期限ギリギリに取り組んだほうが、使える時間が短くなって余計に集中してタスクを片付けられる。

「仕事は、完成までに利用可能な時間をすべて満たすように拡大していく」というパーキンソンの法則という法則が、あるがこれは逆も言えて、つまり「そもそも仕事にかける時間が少なければ、その分の時間だけでタスクを終わらせることは可能」。

もちろん、この逆パーキンソンの法則が適しているものとそうでないものはあるが、学校の宿題やテスト勉強など、80点だろうが100点だろうがそこまで差がなく、自分のミッション達成にどうしても必要ではないが、やらないと困ると言ったようなタスクを行う際には最強のツールになる。

でも、これまで以上にかける時間を減らしたら80点を出せるかわからない。って思う人もいるかもしれないが、とにかく試してみて欲しい。とんでもなく極端に時間を減らしすぎない限り結果は大して変わらない。

ちなみに100点に近い結果を出したい時に効率を上げるにはどうしたらいいか?これは以下の2つの方法を組み合わせて解決できる。

一発100点満点の完璧主義を捨てて、試行錯誤を繰り返して100点を目指す

逆パーキンソンの法則を何度も利用する

例え話として、大学時代にスタートアップのビジネスコンペに出た時の話をする。

ビジネスコンペには自分のビジネスアイデアを練って、スライドを作り、プレゼンテーションを準備する必要がある。

ビジネスコンペは大体60日後だった。もちろん当日は100点のパフォーマンスをしたいが、それまでビジネスコンペなんか出たことなかったので何をしていいかさっぱりだった。

そこで、60日間じっくりビジネスプラン、スライド、プレゼンを準備するのではなく、1週間ごとにその時自分が思う70点でいいから何かしら成果物をあげて、これをスタートアップ経営者に見てもらってフィードバックをもらってまた次の週に改善したものを見せる。このループを回しまくった。

結果、最初はカスみたいだったスライドもプレゼンも改善し、結果としてビジネスコンペでは2位に入賞した。

そして、面白いのがこのビジネスコンペの他の参加者はほとんどがみんなMBAの学生で彼らは1年以上プロジェクトに取り組んだ結果としてこのビジネスコンペに挑んでいる。それに比べて、自分のチームはほとんど2ヶ月で全てを準備した。

もちろん、アイデアが良かった側面もあるが、これも「集中力と質>>>かけた時間」のいい例。

短い期限を設けて、完璧主義を捨てて、短い時間で80点でいいから成果物をあげる。

80点でいいタスクならそこでやめる。

100点を目指すことに価値のあるタスクなら、そこから試行を重ねて100点を目指す。

これが

「デッドライン」x「逆パーキンソンの法則」を使った最強の効率と成果をどちらも達成する働き方。

短期間で集中して狩りをして成果を出すスプリント型の働き方。

こうして〆切とスプリント型で成果を狩る力を身につけられる。

しかし、ライオンは一日中全力で狩り続けるわけではない。

短い時間で集中して狩りをしては休む。そして、また狩りをするを繰り返す。

この『休む技術』こそが、持続的に成果を出し続ける知的アスリートの必須スキル。

最後に、「戦略的休息」というスキルについてみていく。

戦略的休息ーサボりが正義になる瞬間

頑張り屋さんほどもうほとんど動けないほど疲れてから「休まないと」と思い休息を取る。

限界まで働いて、身体的に疲れてから休む。これだと遅すぎる。

毎日へとへとになるまで会社や上司から与えられたよくわからない仕事を長時間こなして疲れ果てたサラリーマンは休日まで休めない。そして、休日になると朝はゆっくり起きてダラダラテレビを見て夕方になるとビールを開けて野球観戦をして夜更かしして寝る。

一方、ライオンのように働く知的アスリートは平日でも土日でも仕事は短期集中のスプリントで終わらせて、早く上がったらジムに行くなり散歩に行くなりして運動を楽しむ、また同僚と軽く飲むなり自分でやりたい勉強をして早く寝てしっかりと睡眠をとる。

この例から簡単にわかると思うが、牛型の人は心身ともにもはや狩りをするような力はない。逆に獅子型の人は短時間で狩りをして獲物を仕留めたらパッと気持ちを切り替えて思いっきり休む。こうすることで疲れて動けなくなる前に、しっかりと回復した状態で次の狩り、スプリントに向かう。

この意図的、戦略的な休憩は何も仕事を効率的にこなすためのものではない。

頭を空っぽにして休めることは想像力の活性化にもいいことはさまざまな研究から証明されている。

アイデアに関する有名な本「A Technique for Producing Ideas」ではアイデアは

たくさんの生の情報を入れて頭の中でカオスを作る→全く何も考えない時間を作る→集まった情報をもとに脳が新しいアイデアを生み出す

といったプロセスで生まれると書かれている。

『Rest』(アレックス・スジュン・キム・パン)でも、「ボーッと散歩すること」「意図的な昼寝」の時間に偉大な発明やアイデアが生まれることが数多く紹介されている。

実際、進化論を唱えたダーウィンは数時間研究室にこもって集中して研究をした後はあえて区切って庭をぼーっと歩き続ける”サンドウォーク”の時間を設けていて、実際に閃いた大きなアイデアのほとんどは散歩中に出てきたものとさえ言っている。

人間が健康に機能するためには息抜きが必要なのと同じように、脳もそのポテンシャルを発揮するには何も考えない時間が必要で、この脳に”サボる”時間を与えることが想像力と生産性を高めるためにも必要になってくる。

このように「次の爆発的な集中のための戦略としてのサボり、休憩」を取り入れることが知的アスリートになるために欠かせないことは明らか。

インターネットに、コンピュータにスマホ、それにAIまで出てきてどんどん脳を休める時間が減ってきている中、この「戦略的な休息」を取るか取らないかはこれから生産性にも大きな差を生むようになる。

ぜひ、今週から「疲れたから休む」のではなく、「まだ余裕のあるうちから体だけでなく、脳も休める」を実践してみてほしい。

スマホを閉じてペットやパートナーとゆっくり時間を過ごすでもいいし、

何も考えずにぼーっと散歩するでもいい。

次の”狩り”への準備としての戦略的な休息を生活に取り入れてみてほしい。

いつも以上に心地の良い充実した休みになるはず。

さて、これで牛型の働き方を抜け出し、ライオンのような知的アスリートとして効率よく確実に成果を出す働き方へと進化するためのフレームワークは以上。

もう一度軽くまとめると

  • ミッションを定め、それに向かって必要ない「やらないこと」は捨ててClarityを持って行動する
  • 全てのタスクに期限と時間的な制約を設けて、短期集中スプリント型で最大集中力でタスクをしばく
  • 戦略的に疲れる前に休むことで持続的なパフォーマンスと創造性を磨く

意図的に”サボる勇気”と爆発的なスプリント力、これに休息を加えて持続的に成果を出し続ける。

牛の群れから抜け出し、今日から”ライオン”の働き方へ切り替えろ 🦁

今週はこれで以上。また来週!

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